nProtect Netizenのキーロガー対策は有効か?

銀行やクレジットカード会社で採用されているnProtect Netizenにはキーロガー対策としてKeyCryptという機能がある。世界最先端の機能らしい。

◇KeyCrypt(キークリプト)【世界最先端機能】
キー入力した内容を暗号化(あらかじめ決められた文字に自動変換)し、ハッキング行為自体を無力化、情報の漏洩からガードします。
SAISON CARDホームページにてnProtect Netizenサービス開始 (ネットムーブ株式会社, 4/25)

実際にキーロガーをインストールして、この世界最先端の機能を試してみた。
まず驚いたのが、キーロガーをインストールした状態で、KeyCryptを有効にすると、キー入力のレスポンスが非常に悪くなることだ。キーボードを押下してから画面にその文字が表示されるまで2、3秒はかかる。そのレスポンスの遅さだけで何かおかしいと気付くので、それがキーロガー対策になるかも知れない。

入力した文字がどのようにキーロガーのログに記録されるか見てみよう。まず、入力した文字が画面に表示されるのを待って次の文字を入力するようにしてみた(すべて入力し終えるのに20秒位かかった)。入力した文字列は「nprotect」。キーロガーのログには入力した文字列ではなく、「aaaaaaaa」という文字列が記録された。KeyCryptの機能説明にあるように「あらかじめ決められた文字に自動変換」されているようだ。
次に、普通のスピードで入力してみた。特に速くタイプしたわけではないが、画面に表示される前にすべてを入力し終えた。数秒後、WebページのIDの入力欄にはなぜか「protectn」と表示された。タイプミスをしたわけではない。何度か試してみたが、やはり、最初に入力した文字が最後にきてしまう。それよりも重大な問題は、キーロガーのログに「protecta」と記録されていることだ。最後の文字(最初に入力した文字)は「a」に変換されているが、それ以外は変換されずにそのまま記録されている。

nProtect Netizenはすでに 福岡銀行三井住友VISAカードりそな銀行埼玉りそな銀行SAISON CARDUFJ Card東京スター銀行JCB で採用されているが、利用者はこのソフトがあるからといってキーロガー対策が万全とは思わない方が良さそうだ。